民法第921条1号は、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは単純承認したものとみなし、以後、その相続人が相続放棄や限定承認をすることを認めていません。
では、相続人が被相続人の死亡を知らずに相続財産を処分した場合、単純承認したとみなされてしまうのでしょうか。
最高裁判所の判例では、単純承認とみなされる相続財産の処分というためには「相続人が自己のために相続が開始した事実を知りながら相続財産を処分したか 、または、少なくとも相続人が被相続人の死亡した事実を確実に予想しながらあえてその処分をしたことを要する」とされています(最判昭和42年4月27日民集21-3-741)。
つまり、相続人が被相続人の死亡を知らずに相続財産を処分したとしても、単純承認とみなされることはないと考えられます。
とは言え、相続財産を処分してしまえば単純承認とみなされる可能性は否めません。
したがいまして、特に債務がどの程度あるのかがはっきりしないうちは、相続財産の処分には慎重になったほうが賢明です。
具体的にどのような行為が民法921条1号のいう「相続財産の処分」に該当するのかは、非常に難しい問題です。
特に、下記のような行為が問題になるケースは多いと言えます。
繰り返しになりますが、ある行為が法定単純承認事由に該当するかどうかは非常に難しい問題です。
特に、相続財産に莫大な負債が含まれる場合は、少しでも相続財産の処分と疑われる行為は控えたほうが賢明でしょう。
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